中央公園クリニック 福岡天神
心療内科・精神科


統合失調症の診断と特徴

統合失調症の診断は難しいのですが、おおむね次のような特徴があります。

<病識の欠如> 自分では様子がおかしいことがわからない。病院にゆくことを提案しても病気でないと否定する。但し、まれに例外はあり、ご自身で変調に気づかれる方もいらっしゃいます。

<幻聴> 聞こえない声が聞こえる。どこに行っても、その音や声につきまとわれると主張する。

<言語性幻聴> ことばの幻聴。自分に語りかけられることも、他人同士のヒソヒソ話であることもあります。一人称、二人称、三人称いずれもあり、言葉の内容は当人をさしていることが多い。他人の幻聴は幻聴と指摘できますが、自分の幻聴は異常とわかりません。言葉ではなく音楽や機械音が聞こえる場合は、統合失調症でないことがあり、詳細な検討が必要です。

<直接語りかける声> 耳を通して聞こえてくるものではなく、直接自分に語りかける声。命令、禁止、批判が多く不愉快な体験です。本人はそれを無視できません。声を出して反論することもあるが常に負けてしまう。周囲からは、この現象のために独り言をブツブツ言っているようにみえます。

<関係念慮> 普段はなんとも思わないことに何かお互いに関係があって、それが自分とかかわっているという実感がある。但し、これも統合失調症以外の場合にもみられます。

<関係妄想> 関係念慮がより強くなり、周囲から気のせいと言われても、他の可能性を受け入れることができず確信してしまいます。

<妄想気分> 「何であるかはっきりと言えないけれど、周りの様子がいつもとちがう」「ただことではないことが起きる」「世界が破滅する」等、不穏な雰囲気を感じてしまう。

<異常な疑りぶかさ> 周囲の人やすべてが信頼できず、ささいなことも異常に拒絶してしまいます。

<感情の平板化> 感情の幅が狭くなり、感情の揺らぎや喜怒哀楽が少なくなり、ロボットのような様子になってしまいます。

<話がつかみどころない> いろいろ多弁に話しはしてくれるが、内容にまとまりがなく、さっぱり要領をえず何を言っているのか話の内容が理解できない。

<思考化声> 自分の考えていることが声になって聞こえる。考えると同時か、むしろ考えるより先に聞こえる。理屈ではそんなことはありえないですが、声が邪魔で仕方がない。

<させられ体験> 誰かが自分をコントロールしている。したくないことをやらせたり、言いたくないことを言わせたりする。「自分は何かの目的の為に誰かの道具になっている」という体験。


ただし、アルコールの大量飲酒、覚醒剤・シンナーなどの薬物乱用、脳腫瘍などでも同じような症状がでることがあります。これらの症状があるからといって統合失調症とはいえません。

幻聴や妄想があるから、統合失調症とは決して言えないのです。ここに記載したのは統合失調症に多くみられる症状というだけです。症状の有無だけでチェックリスト的に判断できないところに、統合失調症の診断の難しさがあります。



統合失調症の人の特徴


統合失調症は情報や場の雰囲気を統合して、判断したり行動したりする能力が苦手になる病気です。バランス良く統合できなくなるから統合失調症と言われます。しかし、逆に周囲の状況に振り回されず、マイペースでコツコツ努力を積み重ねる能力は普通の人よりも優ります。

具体的に統合失調症の人の行動の特徴としてあげると次のようになります。

受け身的で、注意や関心の幅が狭い。

全体の把握が苦手で、自分で段取りをつけられない。

その場にふさわしい態度がとれない。

一時にたくさんの課題に直面すると混乱してしまう。融通がきかない。

話や行動に接ぎ穂がなく、唐突である。

状況の変化にもろい、とくに不意打ちに弱い。

冗談が通じにくく、硬く生真面目。

容易にくつろがない、常に緊張している。


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