中央公園クリニック 福岡天神
心療内科・精神科


睡眠薬・睡眠導入剤についての解説

睡眠薬、睡眠導入剤、安定剤はどう違うのですか?

睡眠導入剤と睡眠薬は基本的には同じものです。睡眠導入剤という呼び名は睡眠薬のなかで作用時間が短く入眠に使いやすい薬剤の名前としてわかりやすく名づけられたものです。 睡眠薬の作用時間・持続時間は各種あり、これを症状にあわせて使い分けます。

精神安定剤は抗不安薬が正式名称で、不安、緊張、焦燥感の緩和に有効です。 睡眠薬の種類はベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬などがあります。

ベンゾジアゼピン系薬物がもっともポピュラーですが、薬の作用は、不安や緊張を楽にする作用、眠気を導く作用、体をリラックスさせる作用などに分類され、それぞれに作用の強さが異なり、それが薬の特徴となります。 ベンゾジアゼピン系薬物の中でも催眠作用が強いものが睡眠薬、眠気が少なく不安や緊張を楽にする作用が強いものが抗不安薬として使用されています。 不眠のタイプや生活習慣によっては、睡眠導入剤ではなく抗不安薬で就寝前の緊張をほぐすことで不眠治療とすることもあります。


睡眠薬の種類によって効き方は違いますか?

睡眠薬は大きくわけて、ベンゾジアゼピン薬、リトベンゾジアゼピン薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬があります。すべて睡眠を補助する作用は共通しますが、 それぞれの作用メカニズムには違いがあり、それが薬の特性につながっています。

また、睡眠作用の持続時間は薬により異なり、1)超短時間作用型 2)短時間作用型 3)中間作用型 4)長時間作用型に分類されます。 それ以外には、軽い抗うつ薬に分類される薬を、睡眠を深くしたり睡眠の質を改善する目的で投与されることがあります。

不眠の症状は、寝つきが悪い(入眠困難)、夜中に目が覚めてしまう(中途覚醒)、朝早く目が覚める(早朝覚醒)等があり、これらの不眠のタイプに応じて適切な睡眠薬を使い分けます。 また、副作用の種類や頻度にも薬ごとに違いがあります。


市販のサプリメントを飲んでみたのですが?

サプリメントの中には不眠に有効とされているものが多く市販されています。しかし医薬品とは違って、臨床試験で有効性や長期服用時の安全性の評価は行われてはいません。

不眠症に対してサプリメントを服用する時は、治療効果はあまり期待できないこと、安全性についても十分に検討されていないことを踏まえたほうがいいでしょう。 またこれらのサプリは、個人的な意見ですが、効果に対してあまりに高価すぎると思います。



睡眠薬は依存性があるのではないですか

睡眠薬を服用していると薬に依存してしまい、やめられなくなるのではないかと心配される方は多いです。

しかし、不眠がつらく日常生活に支障が生じているならば、薬を使ってでもまずは睡眠を十分とることが最優先と考えます。 現在日本で処方されているほとんどの睡眠薬には強い依存性はありません。服薬をはじめてすぐにやめられなくなることはありません。

睡眠薬を服用して不眠が改善されているならば、少しずつ服用量を減らしてゆくか、ときどき服薬を休んでみてもいいかもしれません。

ご自身の判断で急に服薬を中断すると、リバウンドしてしまい不眠が悪化することもあるので、医師にご相談ください。


睡眠薬を飲んでいると認知症になると新聞や雑誌でみました

睡眠薬の長期服用によって一時的に認知機能、注意力、判断力の低下が生じることがあります。とくに高齢者の場合、認知機能低下が出やすい傾向があります。

しかしこれは服薬中の一時的な副作用であり、薬を中止すればすみやかに回復します。 高齢者が睡眠薬を飲むと認知症に似た症状を引き起こすことはありますが、服薬を中止すれば数週間で元に戻ります。

高齢者でない方が睡眠薬を数十年以上の長期間服用していると認知症(アルツ八イマー病や脳血管型認知症)を発症しやすくなるかの研究については、結果はバラバラで、正確な医学的結論はでていません。

睡眠薬を服用していても認知症とは無関係というデータと認知症になる確率が高くなるという報告の比率は約6:4で、現時点では睡眠薬の長期服薬と認知症は無関係であるという研究結果のほうが多いです。

なお睡眠薬を長期服用すると認知症のリスクが高まるという報告では、服用していない場合と比較して1.5~3倍程度高くなるとされています。

その一方で、全く影響がない、もしくは逆に認知症になるリスクが下がるという研究報告もあります。

睡眠薬を服用する場合には、薬のメリットとリスクを十分に考慮した上で慎重に服用法を決定してゆきます。不眠の原因や生活状況、その方の性格等を考えながら、投薬することが大事でしょう。


睡眠薬を服用した後の記憶がありません

睡眠薬を服用してから入眠するまでの間や夜中に目が覚めた時に、メールや間食などをしてしまい、翌朝にはまったく記憶がないということがまれにあります。

このような副作用は睡眠薬によつて一時的に記憶障害が生じたり、不完全に目覚めたためにもうろう状態になってしまうことが原因で、超短時間型の睡眠薬にみられる現象です。

思い当たる経験がある時は医師にご相談ください。認知症や病気ではないので、原因となった睡眠薬を中止して他剤に変更するとこのような症状はすぐに改善します。

睡眠薬を飲んでからすぐに床につかなかったり、飲酒した後に服用すると起こりやすくなるので、睡眠薬は就床直前に服用するようにしましょう。また、薬を飲んだらすぐにベッドに行きましょう。


睡眠薬はいつまで服用するのでしょうか

基本的には不眠症が治ったら、適切な時期に減薬もしくは休薬するのがいいでしょう。こ自身の不眠症が治っているか判断するポイントには二つあります。

夜間の不眠症状が改善していること、ぐっすり眠れて日中の心身の調子が良いことです。この二つがそろっていることが休薬を成功させるコツです。

不眠症が十分に治らないうちに睡眠薬をやめてしまうと、不眠が再発したり、悪化したりすることがあるので注意しましょう。

不眠症患者さんの中には、さまざまな理由により睡眠薬を長期間にわたり服用する必要がある方もいます。病状から無理にやめないほうがご本人の利益になるケースがあります。


睡眠薬の減量方法

睡眠薬を長期間服用した後に、一気に中断すると不眠症状が一時的に悪化することがあります。これらの症状の多くはあくまで一過性で徐々に軽減しますが、数日〜数週間持続することもあるので注意してください。

睡眠薬を徐々に減量することでこれらの離脱症状は避けられます。まず睡眠薬を4分の1錠減らし、2週間程経過をみて問題がなければさらに4分の1を減量するように、少しずつ時間をかけて減量します。

特に2錠以上服用していたり、長期間服用している方は、ゆっくりとした減薬が必要です。睡眠薬の減量は自己判断で行わず、医師に遠慮なく相談してください。また、最近では減薬時の不快な 症状が少ない睡眠薬も開発されています。

不眠症が治っていれば睡眠薬は減量、中止できます。睡眠薬を減量した直後は睡眠の質が少し悪く感じることもありますが、数日で回復します。 このような方法で減薬しても不眠が再発する場合には、まだ不眠症が完治しておらず、焦って減薬のタイミングが早すぎるのではと考えられます。



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